Tree Stories of HINOKI

樹木医​​ 中村 雅俊さん

樹木医として数多くの樹木と向き合ってきた中村雅俊さんに、4種の樹木の「個性」「香り」「背景」をテーマに、話を伺いました。そんな中村さん自身の檜の思い出とはー「木曽のヒノキ林を歩いたとき、冷たく澄んだ香りと樹齢300年を超える林の息遣いに圧倒されました。雨上がりの森は特に香りが濃く、森が深く息を吸って吐く感覚を味わえた贅沢な思い出です。」

個性 - Characteristic

ヒノキは常緑針葉樹でありながら、季節によって全く異なる表情を見せます。春には新芽がふくらみ、樹冠がやわらかな緑黄色のヴェールに包まれます。夏は濃い緑が林内に陰影を作り、秋には古い葉が黄褐色に変わって落ち、冬には葉が赤みを帯びて凛とした佇まいに。木材としても、経年で深みを増す色合いや質感の変化を楽しむことができ、湿気や乾燥による微細な変化もヒノキの魅力です。

香り - Scent

ヒノキの香りは、樹脂道や枝葉に蓄えられ、傷や外的刺激によって放たれます。特に樹木の上部や若い枝ほど香りが強く、森の中にいるだけで清々しい香りを感じることができます。実は抗菌作用や防腐・防カビ作用などで用いられている「ヒノキチオール」と呼ばれる成分は、日本のヒノキにはほとんど含まれておらず、普段私たちが感じているひのきの香りは、主に自己防衛で発せられるテルペン類によるものというのが面白い点です。

背景 - Background

ヒノキは、日本の山の尾根や太平洋側の温暖な土地の気候に適しており、香りが高く優れた材であることから、神社仏閣や木工文化で重用されてきました。江戸時代に伐採しないように管理するために出されたお触れにより、「ヒノキ一本、首一つ」と恐れられるほどでした。日本人の手によって大切に保存・活用され、その結果として、今日の保護林としてのヒノキ林が生まれたことも、印象的な歴史のひとつです。

初夏の訪れとともに、
ひのき香るウッディノートをぜひお試しください。

中村 雅俊さん

樹木医​

1981年東京都生まれ。都市にある景観に対し、樹木学の知識を取り入れた植栽活動を行うグリーン・マネージメントチーム「トシ・ランドスケープ」主宰。公園や施設の緑地管理からプランニング、数百年の長寿木の診断も行う樹木医も務める。人と街が緑でつながる、心地の良いライフスタイルを提案している。


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