染色家の小室さんが、桜のエネルギーを感じる瞬間は?
桜を染めていると黄や茶、オレンジといった多彩な色が出てきます。植物にとって色素とは、花を咲かせたり成長するための栄養素。他の植物に比べても、豊富なその色の数から、桜の生命力の強さを感じます。
桜の花びらは、まさに「さくら色」と表現されるような、やわらかく優しい色をしています。桜の花の色の成分はアントシアニンと呼ばれるもの。ピンク~紫の色を作り出し、花弁細胞に蓄えています。
煮出して染めるだけだと、茶色やオレンジ色になってしまう。けれどその中にも必ず、赤の存在を感じられるんです。
桜の声に耳を傾けながら環境を整える。品種や樹齢、育った土地によっても色は変わるため対話を重ね、約ひと月かけて淡いピンク色を引き出していきます。
植物の色は決して一色ではなく、さまざまな色が重なり合って深みを生み出します。染めるたび色が変化することもありますが、それもまた、色が生きていることを実感します。先人たちは色を情報としてだけでなく、植物への憧れや思いを色にのせていたと思うんです。同じ色を見るのでも、それぞれの気持ちを重ねて感動していたんだろうなって。
植物のいのちの色を布に映し出す、そんな橋渡しのような感覚。草木染めならではの色の変化や感動を伝えていきたいです。






